封じられた想いの記憶

彼女がときおり見せる悲しげな顔
誰も気づかない寂しさ
夕刻の海岸で見せる
悲しげな表情
そして想いは黒いフレームに
封じ込められる

黒いフレームに想いは詰まる
言葉にならない言外の感情
切り取られたフレームは時間を封じ
コトバより動きより
彼女の思いを伝える
心の痛みすらも

花のように笑い
鳥のようにささやく
風のように優しく
月のように輝く
彼女の仕草の一つ一つが
切り取られた想いの中に生きる

黒いフレームは想いを運ぶ
ふいにこころの隙をつき
彼女の悲しさうれしさが
こころの奥底までしみわたる
そしてまた
彼女は動き始める

封じられた想いの記憶
春が来れば溶け始める