コメットさん☆ ショートストーリー
「探し物」

〜☆〜

子供の頃、ずっと大事に持ち運び、いつも持っていた物。
ずっと、ずっと大事にしていた物。

けどそれは自分が大きくなるうちに、存在を忘れてしまい、
ふと気が付けばその物は既に姿を消していた。

捨てたかもしれないし、もしかするとまだあるかもしれない。

けど、どこを探しても見つからない。

あなたもそんな探し物、ありませんか?
ほら、よく思い出して……

〜☆〜

鎌倉のとある所のアパートの中にケースケなる人物の家…
いや、湘南探偵団の事務所があった。
湘南探偵団は前回怪人28号を見事に捕まえるという大手柄を取ったのだが、
それ以来、事件は全く起きず、平和な日々が続いた。

こんな平和な日々に退屈していた人物がいた…

「あーーーーーーーーーーーーーーーーっ」
「どうしたのメテオさん?」
「どうしたもこうしたもって、なぜ事件が起こらないったら起こらないのよ!」

そう、こんな日々を一番退屈していたのは湘南探偵団のリーダー、メテオである。

「別にいいんじゃないんですか?ほら、世の中は平和な方がいいですし。」
「アンタは退屈しないでいいわねー、このカリカリ坊やの部屋の掃除をしてるだけでも立派な暇潰しになるんですし。」
「いや、その…いつケースケが帰ってくるかわからないから…ね、ね。」

一方、いつも事務所の部屋の掃除をしているのはメテオの助手であるコメット。相変わらずのマイペースぶりである。
湘南探偵団は週に2,3回はこの事務所に集まることにしている。
…とは言うものの、ただコメットがケースケの部屋の掃除をしに行く為だけに開けている様な物だが。

「あ?、今日も事件が起きないかしら…そうよ!」

と、メテオはティンクルバトンを出した。
そこに、メテオのティンクルスターからムークが出てきた。

「ひ、姫様!まさか自ら事件を起こそうなんて考えてませんよね?」
「だって、退屈ったら退屈なのよ!」
「だからって星力を使って事件を起こすのはどうかと…。」
「ムーク、アンタこのわたくしに刃向かう気?」
「いや、別にそのつもりでは…。しかし姫様、これはどう考えてもいけない事かと。」
「あー、うるさいったらうるさいわよ!」

と、メテオがティンクルバトンを振ろうとした時、2人の子供が事務所に入ってきた。

「大変、大変!」
「あれ、ツヨシくんとネネちゃん…ってツヨシくんどうしたの?」

湘南探偵団のメンバー、への007号ことツヨシとへの008号ことネネだった。
ネネはあわてていて、ツヨシの方はなぜか泣いていた。そこに、メテオがそれに反応した。

「何!何!事件なの!?」
「うん、事件なの。」
「きゃーっ、久々の事件ったら事件よ!このわたくしの腕が鳴るわ!
 で、その事件って何?さぁ早く言いなさいったら言いなさい!」
「あのね、ツヨシくんのね…」
「うん、うん。」
「ツヨシくんの、メタルマンのお人形が無くなったの。」
「…は?」
「…お家のいろんな所探しても見つからなかった…。」
「ツヨシくん、あのお人形すごく大事にしてるから探してほしいの。ネネちゃんからもお願いしたいの。」

メテオは気力が一気に抜け、呆れた顔をしてこう言った。

「…なんだ、アンタの人形が無くなっただけの話じゃないの。全然事件じゃないじゃないの。」
「いや、これは立派な事件だよ!」
「はいはい、わかったわかった。コメット、その子達に付き合ってあげて。私はここにいるわ。」
「メテオさん…。わかった、お人形はメテオさんの代わりにわたしが探すわ。
 きっと見つかるから、ツヨシくんももう泣かないで、一緒に探そ。」
「…うん。」

そしてコメットは、ツヨシとネネと共に人形を探しに出かけた。
「…まったく。」
「姫様、いくら小さな事件とは言え、それをほったらかしにするのはどうかと。」
「いいのよ、ああいうのはコメットに任せておけばいいんだから…。」

〜☆〜

とりあえずコメットは手がかりを探るべく、星のトンネルを使って藤吉家に戻ることにした。
そこには、熱心になって探している藤吉家の大黒柱、景太朗パパがいた。

「ああ、コメットさん。ツヨシの人形どこにあるかわからないかな?」
「あっ、ツヨシくんとネネちゃんに今それを探してと頼まれたんです。」
「そうなのか。いやぁ、探してもなかなか見つからなくて…。」
「パパ、仕事は?」
「あ、いや、あ、その、やっぱり仕事よりツヨシが大事にしてるものを見つけるのが先だから…。」
「ここはコメットさんにまかせて、パパはお仕事に戻るの!」
「えっ、ネネがそう言うなら仕方ないなぁ。じゃあコメットさん、悪いけどお願いできるかな?」
「はい、ススっと見つけちゃいますね。」

景太朗パパは仕事部屋へ戻っていった。

「ねぇ…ススっと見つかるの?」
「うん、星力でススッと見つけちゃうね!」
「ホント!?」
「コメットさんの星力だ!」
「じゃ、早速…」

コメットは星力で人形を探すことにした。
早速、ティンクルバトンを出し、呪文を唱えた

「エトワール!」

すると、バトンからピンク色の輝きをした線が出てきた。

「コメットさん、これはなに?」
「これは手がかり、というよりお人形への道しるべみたいなもの。
 これをたどっていけばきっとお人形のありかに出てくるよ。」
「ホント!?ツヨシくん、早速たどってみる!」

ツヨシは急いで輝きの線をたどって行った。
コメットとネネも一緒に追って行った。
すると、その線は家の外に出ていた。

「あれ?外に出てる…?」

ツヨシは家の外に出て、更に線を辿ってみると、への6号ことパニッくんがいた。

「フォルテッシモ、これは奇遇ですね。」
「あ、それは!パニッくんそれは!」

パニッくんの手に持っていたのは明らかにツヨシの人形だった。

「あ、これはあなたのですよ。」
「なんでパニッくんが持ってるの!?」
「それは、あなたが公園で遊んでた時に忘れていったものじゃないですか。」
「えっ…?そうなの?」
「とりあえず、これはあなたのものなのでお返しに来ました。」
「そうなんだ…。パニッくん、ありがとう!」
「いえいえ、どういたしまして。それでは僕はこれで。」

パニッくんはあっという間に帰ってしまった。

「なんだ、パニッくんが持ってたのか。ネネちゃん、心配して損した。」
「あっ…、けど見つかって良かったじゃないか。」
「うん、無くした物が見つかるだけでも良かったんじゃないかな。
 とにかく、この事件は解決だね!」
「うん!これにて解決!」
「ツヨシくんが忘れただけだけどね。」
「うっ…。」
「ま、まぁとにかく戻ろっか!」

3人は家に戻ることにした、家の扉を開けようとした時、
コメットの耳にとある声が入った

『ひめさま…』

「…えっ?」
「どうしたのコメットさん?」
「今、何か声がしなかった?」
「ツヨシくん、何も聞こえなかったよ?」
「ネネちゃんも何も聞こえなかった?。」
「あれれ…空耳かな?」

コメットは空耳だと思った時、声は再び聞こえた。

『ひめさま…』

「…!?まただ…」
「コメットさん、どうかしたの?」
「ごめん、ちょっと行ってくるね。二人は先に帰ってて。」
「あっ、コメットさん!」

コメットはすぐに声の方向へ向かっていった。
向かった先はベランダであった。

「確かここから…」

するとそこに星のトンネルが出てきて、ラバピョンの所へ行ってたラバボーが戻ってきた。

「ひめさまー、ただいまだぼ〜。わざわざ迎えに来てくれたのかぼ?」
「あっ、ラバボー。わたしの事呼んだのってあなた?」
「えっ?何のことだぼ〜?ひめさまとは今会ったばかりだぼ。」
「あれれ?たしかにさっき『ひめさま〜』って言わなかった?」
「さっき?ラバピョンの所からぼーの声なんて聞こえないぼ。」
「うーん、そうだよね…やっぱ空耳かな?」
「ひめさま、どうしたんだぼ?」
「ううん、なんでもなかったみたい。わたしの空耳。」
「そらみみかぼ?」
「うん、気のせいだったみたい。じゃ帰ろっか。」

こうして、小さな事件は解決した。

〜☆〜

そして次の日…、メテオはいつも通り事務所へ向かった。
しかし、先に来ているはずのコメットが来ていなかった。

「まったく、コメットったらなぜこのわたしより早く来てないったら来てないのよ!」
「いつもなら姫様より早くきてるはずなんですけどね、寝坊でもしたのでしょうか。」
「そうに違いないったら違いないわ…ま、コメットがいるいない関係ないけど。」

メテオはいつもの様に椅子に座っていると、ツヨシとネネがあわてて入ってきた。

「大変、大変!」
「大変、大変!」
「どうしたのよ、2人ともあせって入ってきて、また何か無くしたわけ?」
「そんな事じゃないの、もっと大変な事なの!」
「そうなの、昨日よりもっと大変な事なの!」
「あー、とっとと用件を言ってしまいなさいったらしまいなさいよ!」
「コメットさんがいなくなったの!」
「は?コメットがいなくなった?どうせ朝からどっか行ったんじゃないの?」
「だって、これがコメットさんの部屋に…」

ツヨシが出したのはコメットがいつも持っているティンクルスターだった。

「これは…ティンクルスター?って事は、ラバボー、アンタそこにいるんでしょ!?」

ティンクルスターの中からラバボーが出てきた。

「いるぼー!これは一体どういう事だぼー!?なぜひめさまがぼーを置いていったんだぼー!?」
「それはこっちが聞きたいわよ、何故付き人であるアンタがティンクルスターごと置いてかれてるのよ!
 …ははーん、きっとコメットはアンタにあきれてそのままクビになったんじゃないの?」
「それはないぼ!絶対にないぼ!ひめさまが…ひめさまがそんなひどいことするはずないぼ!」
「そうかしら?最近アンタ『ひめさまほったらかし罪』の容疑にかかったそうじゃないの?」
「そ、それは…けど、ひめさまはこんな事は絶対にしない人だぼ!」

と、そこへムークが、

「姫様、コメット様の不可解な行動、そしてラバボーごとティンクルスターを置いていった事、
 これはひょっとしてひょっとすると…。」
「ひょっとしてひょっとすると?」
「大きな事件の可能性があるのではないかと、この私は予想しているのですが。」
「事件…?事件…!事件…!?そうよ、この背景にはきっと何か大きな事件が関わってるに違いないったら違いないわ!
 久々にこのわたくしの頭脳をつかう時がやってきたのね!とりあえず二人とも、今日の朝の出来事を教えなさい。」
「流石メテオさんだ!迷探偵っぷりを発揮するんだね!」
「メテオさんの迷探偵っぷり、見たい見たい!」

ツヨシとネネは、今日の朝の事を話すことにした。

続く…

※うわ、今回の展開ちょっとヤバイかも(汗