コメットさん☆ショートストーリー(のつもり)
『何もかもがいつもと違う日』-3

わたしはティンクルバトンを使って星のトンネルを作り、メテオさんと一緒にスピカおばさまがいる家へ向かった。
星力はメテオさんのもの。つまり、カスタネット星国の星力で、更にラバボーの恋力が使えない上、移動は困難をきわめた。
けど、ここらへんはわたしのカンで何とかして、慣れない星力を使って到着…したのはスピカおばさまの家の屋根の上だった。
さらに、星のトンネルは屋根の上の真上に出来たため、わたしたちはしりもちをついた。

「あいたたたっ…」
「いてて…もうコメットったら何でこんな所に出てくるったら出てくるのよ!」
「だって、メテオさんの星力、使い慣れてないんだもん。」
「はぁ?あなたそれでもハモニカ星国の王女なの?私の星力くらいちゃんと使いなさいよ!」
「そうだけど…」

やっぱり、わたしの姿で叱られるとどうも反論ができない。
と、下から聞き覚えのある声がしてきた。

「誰か、そこにいるの?あっ、コメットとメテオさんじゃないの。」

スピカおばさまだった、わたしは即座に返事をした。

「あっ、スピカおばさま〜。」
「珍しいわね、二人で一緒にいるなんて。」
「いや、実はそれには理由があって…。」

その時、わたしのティンクルスターからラバボーが飛び出した。

「やっぱり今のひめさまには耐えきれないぼ〜、今からラバピョンの所まで行ってくるぼ〜!」

と、メテオさんがラバボーを捕まえようとしたが、今のラバボーはなぜか逃げるスピードが速かった。
やっぱりこれも恋力がもたらす影響なのだろうか…。

「あ、待ちなさいったら待ちなさいよー!もう、覚えてらっしゃい!まったく…」

さすがに完全にメテオさんになってるわたしに違和感を覚えたのか、
スピカおばさまは今の私達の状況を理解したかのようにこう言った。

「あれ?二人とも様子が変ね。まるで二人が入れ替わってるみたい。」
「あ、やっぱりわかります?」
「(み、見抜かれてる?スピカおばさんって密かに凄い…)」

とりあえず、わたしたちは屋根を降り、家の外においてあるテーブルでおちあう事にした。
そして、わたしたちは今までの出来事をスピカおばさまに話すことにした。

「うーん、多分それはイタズラビトさんのしわざね。」
「イタズラビトさん…?」
「そう、イタズラビトさん。イタズラ好きなホシビトよ。」
「まさにそのまんまの名前ね…」
「イタズラビトはいろんなイタズラをして、常に他のホシビト達を困らせてるの。
 あなた達が入れ替わったのも、イタズラビトさんの星力のせいなの。」
「星力…?じゃあわたしたちは星力をかけられたって事なの?」
「あなた達、ゆうべ何か変わった事は無かった?」

わたしとメテオさんはゆうべの出来事を思い出した。
まず、わたしから答える事にした。

「わたしは晩ご飯を食べた後、ちょこっと気分転換に夜空を眺めてたの。
 きれいな夜空をながめてて、ぼーっとしてたらいきなり転んじゃった。
 起きあがってまた夜空を眺めてたんだけど、そこから急に眠くなっちゃって、
 寝ようと思ったけど、お風呂に入らないまま寝るのはちょっと…と思って
 なんとか眠い目をこすりつつ、お風呂を済ませて部屋に戻ってベットに寝ころんだらすぐに寝ちゃったの。
 で、朝起きたらメテオさんの姿でメテオさんの部屋にいたの。」

次に、メテオさんが答えた。

「私はテレビ番組を見たあと、ムークを使って星力をためにいったわ。
 そして地上に戻って降りようとした時、足が滑って転んだのよ。
 その時はムークのせいにしたけど、その後気分が悪くてしかも眠くて、
 とっととお風呂に入って寝ることにしたわ…そして朝起きたらコメットの姿でコメットの部屋に…。」

二人が答えたあと、スピカおばさまはクスッと笑いながらこう答えた。

「やっぱり二人が入れ替わってるとおかしいわね。
 おっといけない、じゃ本題。やっぱり二人には共通の出来事が起きてるわね。」
「共通の…」
「出来事…?」
「そう。イタズラビトさんの星力のかけ方はちょっと変わってて、
 入れ替わりの星力をかけると必ずその人が転んじゃうのよ。」
「転ぶ…?そう言われてみるとわたしもメテオさんも転んでるね…。」
「その通り、その後かけられた人は必ず眠くなる。
 そしてその人が寝たら星力の効力があらわれ、入れ替わっちゃうの。」
「じゃあ、転んだ後眠くなったのもイタズラビトさんのせいなんだ…。
 でも、なんでおばさまはイタズラビトさんの事、よく知ってるの?」
「実は私も昔イタズラビトさんに入れ替えの星力をかけられちゃった事があるの。
 相手は私の姉、つまりコメットのお母さんとね。」
「えっ…お母様と!?」

わたしはちょっと驚いてしまった。

「ええ。私も姉も突然の事にとまどったけど、
 入れ替わってるうちに私達の知らないところがわかって面白かったの。
 けどやっぱりこのままじゃいけないと思って、結局元に戻ったのよ。」

その話に口をはさむように、メテオさんが言った

「戻った…?やっぱり戻れったって事は戻る方法があるの?」

それに応じるかのように、スピカおばさまが答えた

「ある事にはあるわ。星力の効力が切れるまで待つ。
 ただこれだと早くて1日、遅くていつ戻るかわからないわ。」
「待つ…いつまでもこのままの姿で待てないったら待てないわ!」
「せっかちさんねぇ、一応方法はもう一つあるわ。
 それは、イタズラビトさんを見つけて元に戻してもらう事。
 イタズラビトさんは自分がかけたイタズラを見て楽しむから、きっとあなた達の近くにいるはずよ。」
「ええっ!?じゃあ今私達の事を見ているの!?」

メテオさんはすぐに辺りを見回した。

「今探してもダメよ。イタズラビトさんは相手に気付かれたらすぐに隠れる習性があるの。
 だから今辺りを見回してもきっと見つからないわ。だから気付かれない様に、イタズラビトさんを捕まえ…」

その時、家の中から電話が鳴ってきた。

「あっ、お電話だわ。ちょっと待っててね。」

スピカおばさまはあわてて電話の方へ向かった。
話を耳にしてみると、どうやらスピカおばさまの知り合いみたい。となると…。

「この電話、長くなりそう…。」
「なんですって!?」

コメットが言った通り、スピカおばさんの長電話はいつまでも続いた。
もう何時間経っただろうか…?話を聞かなきゃいけないのに…あーもういけないったらいけないのに!
そこにコメットが

「あっ、そろそろ時間だ?」
「時間って何の時間?」
「ツヨシくんとネネちゃんのお迎えの時間だよ!メテオさん、行かなきゃ!」
「なんで私がいかなきゃいけないったらいけないのよ!」
「だって私の姿をしてるのはメテオさんだし…私もついていくから、お願いっ!」
「あー…もう仕方ないわね。いつまでたっても話が終わりそうに無いし、行くったら行くわよ!」
「ありがとうー!じゃあ早速星のトンネルで戻らないと…。」
「待って!さっきみたいにしりもちつくのは嫌だから、私が星のトンネルを作るわ。」

と、私は星のトンネルを作りだした。あ、ラバボーどうしよう…。
いつまでも戻ってきそうに無いから警告してから帰るか。
私は大声で

「ラバボー!夕方までに戻ってこないとそっちに迎えが来ても知らないったら知らないわよー!」

反応が無かったが、多分ラバボーは私の言葉を耳にしてるはず。
私はコメットを連れてトンネルの中に入った…。
ああ…やっぱり星国が違うと星力も使いにくい…私は何とかしてバス停の前まで戻ることができた。
が…そこでも私達はしりもちをついてしまった。

「あいたたた…」
「いててて…」

そこにムークが出てきて

「姫様もハモニカ星国の星力、使い慣れてないじゃありませんか。人のことは言えませんな。」
「あー、ムークうるさい!ちょっと失敗しただけよ!」
「そうでしょうかね…?あ、そろそろバスが到着しますね。
 お二方、ちゃんと自分が今の姿になりきった方がよろしいかと。特にメテオ様。」
「な・に・ぃ?」

ムークを殴ろうとした時、丁度バスがやってきてムークは私のティンクルスターに入った。
そしてバスが到着して、ツヨシとネネがバスから降りてきた。

「あ、コメットさんだ。」
「あ、メテオさんも一緒だ。」

ここは何とかしてコメットになりきらねばならない…。

「二人ともおかえりっ。」

私は作り笑顔で何とかごまかした。

「あっ、いつものコメットさんだ。」
「朝の変なコメットさんじゃない。」

…どうやら変と言われずにすんだ。
私だってこれくらいやればできるわよ。

「ところで、なんでメテオさんと一緒にいるの?」
「そうそう、なんでなの?」

何でって言われても…言い訳を考えるうちにコメットが答えた。

「わ、私はコメットと偶然出会っただけよ。これから帰るつもりでしたの。
 じゃあね、オホホホホ。」

と、コメットはそのまま走って帰っていった。
…コメット、完全に私になりきってる。私も負けじと、なんとかコメットになりきった。

「じゃあ、もうすぐ夕ご飯だし、帰ろっか。」
「うん、帰ろう!」
「帰ろう帰ろう!」

私は風岡家に戻り、普通に夜を過ごした。
イタズラビト探索のことをすっかり忘れて…。
そしてその日夜、ぐっすり寝ていた私はある気配に気付き、目を覚ました。

「(ん…?誰かが私を見てる?)」

と、私は寝たふりをしたまま、そっと窓の方を向いた。
そこには、見たことのない影がこちらを覗いていた。

「(…!?もしかしてあれがイタズラビト…?)」
その時、イタズラビトは私が起きてる事気付いたのか、すぐに逃げ出した。

「あ!待ちなさいったら待ちなさい!!」

私はコメットのパジャマ姿のまま、外に出た。
その後、イタズラビトを追い掛け無我夢中に走った。

「何でこんなに早いの!?」

と、T字路の曲がり角から私のパジャマを着たコメットがやってきた

「コメット!?」
「メテオさん!」
「説明してる暇は無いわ、あいつがイタズラビトよ。」

と、私が指さした時はもう既に姿が見えてなかった。

「あー、もう何でこんな時に!」
「多分イタズラビトさんは走った跡を残してると思うの、それを星力で何とかすれば…。」
「そうよ!コメット、そうと決まれば早速変身よ!」

私達はティンクルスターを使い、変身することにした。
しかしこれには盲点があった。今何もかもが入れ替わってる状態。
つまり、変身後の星国のドレスもコメットのドレスのまま…。

「あー、この服なんでこんなにキツいったらキツいのよ!」

やっぱり私には合わなかった…。しかしもっと合ってなかったのはコメットの方だった。
コメットの方を見ると、ドレスに足を引っかけ、転んでいた。

「あ〜ん、メテオさんの服スカートが長すぎて足ひっかけちゃった…。」
「あー!私の服で何してるのよ!とにかくさっさと起きてイタズラビトを追いかけるわよ!」

私は早速ティンクルバトンを出し、呪文を唱えた。

「シュテルン!…あれ?」
「メテオさん、姿が入れ替わってるから、呪文は『エトワール』じゃないと…。」
「あらやだ、姿も違えば星力も違うんだっけ。もう一度、エトワール!」

ティンクルバトンからピンク色の輝きが現れ、イタズラビトが走った形跡が出てきた。

「よし、成功だわ。行くわよ、コメット!」

私達は再びイタズラビトを捕まえに走った。
が、その跡は道の途中で空の方に上がっていた。

「えっ、イタズラビトって飛べるの!?」
「じゃあ、ムークさん達を起こして飛んでいかないと、逃げてっちゃう!」

私達はムークとラバボーを起こした。

「姫様、こんな夜中に一体なんの用ですか…?」
「うーん、ラバピョンのゼリー、もっと食べたいぼ〜…」

ラバボーは寝ぼけてたが、何とかほほ辺りをつねってたたき起こす事ができた。
そしてラバボー達に乗って、急スピードでイタズラビトを追いかけた。

「ラバボー!もっと早く行けないの!?」
「そんな事言っても無理だぼー、これが最大スピードだぼー!」

とか言ってるうちに、イタズラビトを見つけた。
厄介な事に、相手も飛ぶスピードが速い。
そこで、少し前をリードしてるコメットに

「コメット!一本釣りでイタズラビトを捕まえてらっしゃい!」
「わかったわ!メテオさん!」

と、コメットはティンクルバトンを出し、呪文を唱えた

「エトワール…あ!これじゃ呪文が効かないんだった!
 もう一度、シュテルン!」

…もうコメットったら、何をしてるんだか…。
コメットは緑色の輝きをした糸をだし、見事にそれでイタズラビトを捕まえる事ができた。

「やったわ!これで元に戻れるったら戻れるわ!」

イタズラビトは捕まった途端、謝りだした。

「ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!僕が悪いんです!許してください!」
「許す?なんであんな散々酷い目に遭わされてた私が許すと思って!?」
「ホントに出来心なんです、許してください…!」
「あんた、見かけによらず攻めると弱いわね。」
「僕はそういう性格なんです…。イタズラをする事は好きなのですが、
 その事がバレると怒られるのが恐くて逃げてしまうんです…。」
「あんた、逃げればそれで解決すると思って?私は絶対許せないったら許せないわよ!!」
「ヒィィ!」

そこに、コメットが出てきた。

「メテオさん、もうそれくらいにしておきましょうよ。」
「何?コメット、こんなヤツを許してやるってワケ?」
「確かにイタズラビトさんはわたし達を入れ替えたわ。
 けどそれがイタズラビトさんにとって楽しい事だと思うし、
 私も自分とは違う姿でちょっと面白かったし。」
「面白かったぁ?私はちっとも面白くないったらないわよ!!」
「今回限りは許してあげたら?イタズラビトさんもこんなに謝ってるんだし。」

私は少し考えた。

「うーん…、仕方ないわ。今回限りは許してあげるわ。
 けど次やったら絶対に許さないったら許さないわよ!」
「は、はい!次からは絶対にやりません!」
「じゃあ、わたし達を元に戻してくれるかな?
「はい!今すぐに!」

イタズラビトは星力をかけた途端、私達は転んだ。

「あいてて…なんで転ばないといけないったらいけないのよ!」
「これで明日の朝には元に戻ってるはずです。」
「明日の朝ぁ?なんで今すぐ戻らないったら戻らないのよ!」
「ヒィ、この星力はこうしないと元に戻らないんです…。」
「はぁ…、まぁしょうがないわ。ラバボー、戻るわよ。」
「わかったぼ〜。」

眠い…。星力の効力が効いてきたのか…。
私はすぐさまコメットの家に戻る事にした…。

メテオさんが帰り、わたしも戻ることにした。

「じゃあ、わたし達も帰るね。」
「はい、今日は本当にごめんなさい…。」
「いいよいいよ。わたし、メテオさんの姿になれて面白かったし。
 メテオさんの方はそうでも無かったけど。
 けど、こんなイタズラはもうなるべくしないようにねっ。」
「はい!わかりましたっ!」
「それじゃあまたねっ!」

わたしもメテオさんの家に戻ることにした。

そして次の日……。
いつもの日、いつもの朝、いつもの目覚め…。
いつもの部屋、いつものティンクルスター。そして、いつもの私がここにいた。

「ひめさま、ひめさまかぼ〜?」

ティンクルスターからラバボーが出てきた。

「うん、そうだよ。いつものコメットだよ。」
「よかったぼ〜、メテオさんのままだったらどうしよかと思ったぼ〜…。」

と、ツヨシくんとネネちゃんがあわてて部屋に入ってきた。

「コメットさん!時間時間!」
「早くしないとまたバスに乗り遅れちゃう!」
「あっ、いけない!もうこんな時間、着替えるから先に下に降りてて!」

わたしはすぐにお見送りにいった…。
たまには何もかも違う生活もいいかもしれないけど、やっぱり今の変わらない生活が一番だねっ。

おわり☆

※誤字脱字、及びキャラ設定が違う部分があります。ご了承ください。
※なんとかまとめようとしたらすっかり長くなっちゃいました。ゴメンナサイ(汗