コメットさん☆の日記
「メテオさんと北風ピープー」


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 景太郎パパと一緒に私達が家の近くに来ると、何とまだ秋だというのに、北風が
吹き荒れ、鎌倉の街は雪におおわれていた!これは絵本の中に戻すのを忘れていた
北風ピープーの仕業に違いない、と気付いたわたしはツヨシ君と一緒にあの本を探
したが見つからない。あちこち探しているうちに、
「あ、北風ピープーだ!メテオさんもいるよ」とツヨシ君が森の方を指して言った。
バリヤーをはっているメテオさんとそのまわりを回る北風ピープーの姿がチラッと
見え、やがで木陰に消えていった。ラバボーに乗り、急いでその方向に向かうと、
お寺の境内に絵本を開けようとしているメテオさんが見えた。
「メテオさんー、どうしたの」
「こいつをこの本の中に戻そうとしているに決まってるじゃないの!
わたし「のこしたおばけ」をあなた達が絵本に戻したのをこっそり見ていたのよ。
わたしの星力のせいで「のこしたおばけ」とこいつが出てきてしまったのに無責任
だったわ、だからこいつはわたしがこの中に戻してあげるの。でも本を開けようと
しても、開かないのよーキャー何するのよ」
とメテオさんはバリヤーにぶつかってきた北風ピープーをにらみつけながら言った。
「そ、そんな、星力でも、ダメ?」
「エエ、あなた、やってみる?」
「試してみるわ。エトワール!ーあれ、はねかえされちゃった。やっぱダメか-」
「ネエ、コメット、どうしたらいいのよー」
「待って。ー北風ピープー、さみしそう」
とわたしはメテオさんのまわりをグルグル回っている北風ピープーを見ながら言った。
その時、北風ピープーはわたしの方に顔を向けた。それを見たわたしはあることに気づ
いてメテオさんにこう言った!
「メテオさん、わかったわ。北風ピープーはきっと誰からも遊んでもらえなくてさびし
いだけだと思うの。メテオさんなら遊んでもらえると思っいるんじゃないかしら」
「どうしてわたしなのよー」
「メテオさん、今のあなたなら、北風ピープーの気持ちがわかると思うわーバリヤー
をといて北風ピープーを良く見て!」この言葉にメテオさんは衝撃を受けたようだっ
た。しかし、最初に返ってきたのは
「ダメ、こわくてとても出来ないわ」という言葉だけだった。でも
「だいじょうぶ。わたしがいっしょにいてあげるから、メテオさんなら出来るわ」
そうわたしが言うと、やがて、メテオさんはこたえてくれた。
「わかった。やってみる。」
その顔を見て私は驚いた。今までこんなに真剣なメテオさんの顔は見た事なかったからー。
メテオさんはバリヤーを解くと、北風ピープーをじっと見た。そしてゆっくりとこう
言った。
「これは、もうひとりのーわたしー」
わたしもそう思った、涙が自然と出て来た。
そしてメテオさんは今まで聴いたことのない「優しい」声でこういった。
「北風ピープー、いえ、もうひとりのわたし、こっちへおいで。一緒にあそびましょう」
するとあの絵本が開いた!メテオさんはすぐに本を持ち上げると近付いて来た北風ピー
プーに向けた。
たちまちメテオさんは本から発したまばゆい輝きに包まれ、北風ピープーは絵本の中に
すい込まれていった。町に積もっていた雪もすっかり消えていたー
わたしは思わずこう叫んでメテオさんの手をとり、キスをした。
「やった!メテオさんありがとう!」
メテオさんは目にうっすら涙をうかべながらこう言った。
「コメットーさん。あなたって本当にイイ人ね。」
「ええ。そういうあなたも」ー